
頭の回転がもっと速かったらどんなにいいかと、あなたは思ったことはないでしょうか。頭の回転が速いということは、言い換えれば「頭がいい」ということです。それは突き詰めると、「もっと勉強すればよい」ということになりますが、勉強ができるくらいならとっくに頭はよくなっている、という堂々巡りで終わってしまいます。私自身、学生時代には70人中、下から2番目という不名誉な記録を残した経験もあることから、「どうすれば頭はよくなるのか」その答えを成人してからもずっと探し求めていました。
そんな私の元に、ある情報が飛び込んできました。なんでもアメリカに頭が良くなるテープレコーダがあるというのです。脳力開発を事業として行なっていた私は、この情報に飛びつき、さっそく現物を取り寄せました。実際に研究室で160名ほどの人たちにこのテープレコーダを試してみたところ、ほぼ全員から「頭の回転が速くなった」という回答を得られたのです。その効果の素晴らしさに私自身、たいへん驚きました。
ただ、このテープレコーダは最高2倍速まで聴き取れるようになっていましたが、アナログ式の欠点で、音がこもってしまう。何とかデジタル式の高密度集積回路を用いて、4倍速にできたらもっと良い効果が出るに違いないと確信しました。しかし、この4倍速テープレコーダの開発は、まさにイバラの道。ようやく実用に耐えられる「速聴機」ができあがったのは、1993年のことでした。さらにその7年後の2000年には、世界初の4倍速CD「速聴機」の開発にも成功。私が「速聴」の開発・実用化に着手してから、約20年の歳月が過ぎていました。
高速音声を聴き取ろうとしているときの脳は、ある種の活性化した状態になります。専門的に言えば、言葉を聴き取る脳の部位である「ウェルニッケ中枢」が高速音声の内容を理解しようとすることで発達し、それによって大脳全体が活性化して頭が良くなるのです。
ちなみに私は、「速聴」に「速聴法」といった「法」という言葉をつけていません。なぜなら、ただ高速音声を「聴いているだけ」なので、方法ですらないからです。私が手作りの「速聴」テープから今日に至るまで「速聴」にこだわり続けたのは、その威力のすさまじさからです。「速聴」が人生に迷える多くの人々の福音となれば、開発者としてこれ以上の喜びはありません。 |